7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
奥の広い客間に入る。室内には永斗さんのお父さんと海さんが揃って座っていた。

「お待たせして申し訳ありません」

頭を下げると、永斗さんのお父さんは白い歯を見せて笑った。

「気にしないでくれ。ゆっくり話す機会ができて嬉しいよ。それで、この間電話で言っていた婚約者というのは彼女か?」

「ああ、彼女と結婚する予定だ」

永斗さんは淀むことなくハッキリと言った。

「なるほど。彼女は日本人なんだな?」

私のことを上から下までまじまじと見つめると、永斗さんのお父さんはそう尋ねた。

「ああ。母さんと同じ日本人だ。父さん、いつも言っていただろ?日本人は慎ましくて優しいって。沙羅も同じだ。彼女以上の女性とはもう二度と巡り合えない。俺達が出会ったのは運命なんだ」

綺麗な発音の英語でそう伝えた永斗さんの言葉をお父さんは頷きながら聞いている。

永斗さんが私を褒めるのも大袈裟に出会いをアピールするのも、すべてはお父さんに私との偽りの結婚を認めてもらうためだ。

そう分かっていても、彼に本当にそう言われているような気がしてくすぐったい気持ちになる。

「――父さん、騙されたらダメだよ。永斗と沙羅は偽わりの関係なんだから」

すると、永斗さん達の話を聞いていた海さんが口をはさんだ。

「どういう意味だ」

「永斗が沙羅を選んだのはすぐに結婚できないことを見込んでのことだ。違う国の人間とこっちで結婚する場合、色々な手続きで時間がかかるからさ。全ては結婚を餌に会長職を父さんからもらうためだ。沙羅はその道具に過ぎない」

「海!沙羅が道具だと!?言葉がすぎるぞ!」

永斗さんが怒りを滲ませて海さんを睨み付ける。

一瞬にして応接間の中が不穏な空気に包み込まれた。

「海の言葉が正しいとしたらさっきの二人の行為はどう説明するんだ」

「どうせ僕たちが家に来たタイミングで見せつけるようなことをしていただけだろ」

「それは無理だ。私は永斗に今日何時に行くかを伝えていない。お前だってそうだろう?」

「それは……」

「お前の言葉通りだとしたら、私達が部屋に入ってくるまでずっとあの状態でいなくてはならないということだ。それは無理がある。それにお前も見ただろう。二人の慌てた顔を。いつもクールな永斗の珍しい姿が見られて驚いたよ」

お父さんに笑われて永斗さんは苦虫を噛み潰したような顔をした。

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