7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「……恥ずかしいところを見せてしまったな」
「いえ、そんなことありません」
永斗さんのお父さんは寂し気に笑った。
「幼い頃は仲の良い兄弟だったんだ……。だが、なんせ永斗が完璧だったせいで海はどんなに努力してもうまくいかなくてね。永斗という兄がいる限り一生自分は日陰の人生を歩むんだってよく愚痴っていたよ」
「海さんがそんなことを……」
「私の体はそう長くはもたないだろう。生きている間に永斗に全ての権限を一任するつもりだ」
私は黙ってお父さんの話を聞いていることしかできない。
「沙羅さん、永斗を頼むよ。永斗は幼い頃から金に囲まれる生活をしていた。金を持っている人間にはよくも悪くも大勢の人が寄ってくるんだ。そのせいで信じていた人間に裏切られ、絶望し、人を信頼することができなくなってしまったようだ」
確かに出会ったばかりの永斗さんは何よりもお金を信じて頑なに人を信じようとしなかった。
「だが、今日の永斗を見て確信したよ。永斗は君を愛している。以前とは顔つきが違う。それに、雰囲気も違った。君は一体どうやって永斗を丸くしたんだ?」
「わ、私は何もしていません!!」
「謙遜しなくていいんだよ」
本当に何もしていないんだから、謙遜することもできない。
「私は本当に何もしていないんです。むしろ、私が永斗さんにしてもらっているばかりで」
「そうなのかい?」
「永斗さんはとっても素敵な方です。心がとても綺麗です。挨拶だって最初はしてくれませんでしたが、今では「行ってきます」を言ってから仕事に言ってくれます」
「挨拶?あの永斗が?」
永斗さんのお父さんは信じられないという様に目を見開く。
「はい。朝食も一緒に取りたいと言ったら最初は拒絶されましたけど翌日は同じ時間にテーブルに着いてくれました」
「ははっ、それはすごい!」
「永斗さんは私の願いをいつも叶えてくれるんです」
思い返せば私は永斗さんにしてもらってばかりだ。
私が熱を出した時も、つきっきりで看病してくれた。
永斗さんの優しさに触れるたびに、ダメだと分かっていても私の心は永斗さんに惹かれていった。
感情を押しとどめることがこんなにも苦しくなってしまうほどに。
「……――す、すみません。ペラペラと……」
反省して謝ると、永斗さんのお父さんは笑いながら首を横に振った。
「永斗の話を聞けて嬉しいよ。それに、君のような人が永斗の妻となってくれることはもっと嬉しい。永斗が君に惹かれた理由が私には分かる気がするよ」
「え……?」
「君は裏表がなく優しくて温かい人間だと知ることができた。私の妻……、永斗の母親も君によく似ていた。それがきっと永斗にも伝わったに違いない」
そして、永斗さんのお父さんは改まったように私に頭を下げた。
「沙羅さん、永斗を頼んだよ。それと、永斗と海がうまくやれるよう力を貸してやって欲しい」
――ごめんなさい。本当にごめんなさい……。
信じてくれている人に嘘をつくという行為に胸が痛む。
「……はい」
返事をした声はわずかに震えていた。
「また会おう」
「お気をつけて」
永斗さんのお父さんは迎えの車に乗り込み自宅へと戻っていった。
結局、海さんは引き止める永斗さんを無視して車に乗り込み走り去っていったらしい。
「お父さん……大丈夫でしょうか?疲れが溜まったのか少し顔色が悪い様にみえたのですが……」
「父の家には医師と看護師が常駐している。ボタン一つ押せばすぐに医療スタッフが駆け付けてくれるし安心だ」
永斗さんはそう言うと、私の髪を撫でた。
「父は沙羅が気に入ったようだ。うまく演じてくれたんだな、ありがとう」
「いえ……私は何も」
「着替えたら少し出かけないか?」
「え……?どこにですか?」
「着いてからのお楽しみだ」
永斗さんの言葉に私を首を傾げた。
「いえ、そんなことありません」
永斗さんのお父さんは寂し気に笑った。
「幼い頃は仲の良い兄弟だったんだ……。だが、なんせ永斗が完璧だったせいで海はどんなに努力してもうまくいかなくてね。永斗という兄がいる限り一生自分は日陰の人生を歩むんだってよく愚痴っていたよ」
「海さんがそんなことを……」
「私の体はそう長くはもたないだろう。生きている間に永斗に全ての権限を一任するつもりだ」
私は黙ってお父さんの話を聞いていることしかできない。
「沙羅さん、永斗を頼むよ。永斗は幼い頃から金に囲まれる生活をしていた。金を持っている人間にはよくも悪くも大勢の人が寄ってくるんだ。そのせいで信じていた人間に裏切られ、絶望し、人を信頼することができなくなってしまったようだ」
確かに出会ったばかりの永斗さんは何よりもお金を信じて頑なに人を信じようとしなかった。
「だが、今日の永斗を見て確信したよ。永斗は君を愛している。以前とは顔つきが違う。それに、雰囲気も違った。君は一体どうやって永斗を丸くしたんだ?」
「わ、私は何もしていません!!」
「謙遜しなくていいんだよ」
本当に何もしていないんだから、謙遜することもできない。
「私は本当に何もしていないんです。むしろ、私が永斗さんにしてもらっているばかりで」
「そうなのかい?」
「永斗さんはとっても素敵な方です。心がとても綺麗です。挨拶だって最初はしてくれませんでしたが、今では「行ってきます」を言ってから仕事に言ってくれます」
「挨拶?あの永斗が?」
永斗さんのお父さんは信じられないという様に目を見開く。
「はい。朝食も一緒に取りたいと言ったら最初は拒絶されましたけど翌日は同じ時間にテーブルに着いてくれました」
「ははっ、それはすごい!」
「永斗さんは私の願いをいつも叶えてくれるんです」
思い返せば私は永斗さんにしてもらってばかりだ。
私が熱を出した時も、つきっきりで看病してくれた。
永斗さんの優しさに触れるたびに、ダメだと分かっていても私の心は永斗さんに惹かれていった。
感情を押しとどめることがこんなにも苦しくなってしまうほどに。
「……――す、すみません。ペラペラと……」
反省して謝ると、永斗さんのお父さんは笑いながら首を横に振った。
「永斗の話を聞けて嬉しいよ。それに、君のような人が永斗の妻となってくれることはもっと嬉しい。永斗が君に惹かれた理由が私には分かる気がするよ」
「え……?」
「君は裏表がなく優しくて温かい人間だと知ることができた。私の妻……、永斗の母親も君によく似ていた。それがきっと永斗にも伝わったに違いない」
そして、永斗さんのお父さんは改まったように私に頭を下げた。
「沙羅さん、永斗を頼んだよ。それと、永斗と海がうまくやれるよう力を貸してやって欲しい」
――ごめんなさい。本当にごめんなさい……。
信じてくれている人に嘘をつくという行為に胸が痛む。
「……はい」
返事をした声はわずかに震えていた。
「また会おう」
「お気をつけて」
永斗さんのお父さんは迎えの車に乗り込み自宅へと戻っていった。
結局、海さんは引き止める永斗さんを無視して車に乗り込み走り去っていったらしい。
「お父さん……大丈夫でしょうか?疲れが溜まったのか少し顔色が悪い様にみえたのですが……」
「父の家には医師と看護師が常駐している。ボタン一つ押せばすぐに医療スタッフが駆け付けてくれるし安心だ」
永斗さんはそう言うと、私の髪を撫でた。
「父は沙羅が気に入ったようだ。うまく演じてくれたんだな、ありがとう」
「いえ……私は何も」
「着替えたら少し出かけないか?」
「え……?どこにですか?」
「着いてからのお楽しみだ」
永斗さんの言葉に私を首を傾げた。