7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
着替えを済ませ車に乗り込むと、目的地を知らされないまま車は夜道を走りだした。
ヘッドライトに照らされるニューヨークの街並みを見つめる。
思えばニューヨークに来てから夜に出歩くことは一度もなかった。昼間だって観光する気になれずずっとあの豪邸にとどまっていた。
車はニューヨークの隣にあるニュージャージー州のリンデンヘリポートで停まった。
「えっ、ヘリコプター?」
「行くぞ、沙羅」
永斗さんはいまだに状況の乗り込めない私の手を引き、ヘリコプターの近くまで引っ張っていく。
いくつかの説明を受けライフベストを着用すると、ヘリコプターに乗り込む。
頭の中はクエッションマークで一杯だ。
総革張りの8人乗りのヘリコプターの中にはパイロット以外に他の乗客の姿が見えない。
「何をキョロキョロしているんだ」
「あの、他のお客さんは……?」
「貸し切ったに決まっているだろう」
「貸し切り……!?」
そもそもこのヘリコプターに乗り込んだ理由すら聞いていなかった。
「あの、どうしてここに来たんですか?」
パイロットの男性が離陸準備を行っている間に私は尋ねた。
「これは俺なりの感謝の気持ちだ。お前のおかげですべてうまくいった。海とはまだしこりがあるが、うまくいくように努力していくつもりだ」
「感謝の気持ち……?」
「本当はニューヨークに来て買い物や観光に出かけたかったんだろう?」
「もちろん行きたかったです。でも、なんだか行く気になれなくて」
それが本音だった。そもそも、自由に運転手やお金を使っていいと言われてもそんなことできるはずもなかった。
私は根っからの真面目な人間なのだとしみじみと実感する。
パイロットにヘッドフォンを渡されて受け取り耳にはめる。
離陸の合図とともにヘリコプターが地上から離れていく。
私は眼下に広がるニューヨークの夜景に目を奪われた。