冷徹外科医と始める溺愛尽くしの政略結婚~不本意ながら、身代わりとして嫁ぎます~
「優」

 促されるまま身を捩ると、着ていた服が脱がされていく。
 口づけを再開した一矢さんは胸元にたどり着くと、いったん体を起こした。彼の大きな手がそっと私の胸元に触れてくる。思わずビクリとすれば「嫌か?」と優しく尋ねてくる。

 嫌なんかじゃない。これまで誰にも触れられたことがなくて、未知の世界が怖いだけだ。
 必死に首を横に振ると、一矢さんはそっと私に触れた。

「綺麗だ。どこもかしこも」

 私に触れる彼からは、徐々に手探りな様子が薄れていく。

「俺のものだ」

 無意識なのか、続けざまに飛び出す彼の言葉がますます私を熱くさせる。独占欲を隠さない彼の言動が私の心を震わす。

 初めての経験に戸惑う隙も与えないほど、一矢さんは全身で思いを伝えてくる。
 流されるように進む行為は、少しも嫌じゃない。とにかく彼に近づきたいと必死に腕を伸ばせば、大きな手が握り返してくれた。

「愛してる」

 初めての痛みは思っていた以上に大きくて、思わず涙が滲んでしまう。まるで私を労わるように、次々と目元に口づけが降ってきた。

「大丈夫か?」

 痛みが治まるまで待ってくれたのだろう。そっと見上げれば、彼は私以上に辛そうな顔をしていた。
 思わず慰めるようにその頬に触れると、そこに一矢さんも手を重ねた。そのまま掌に口づけられたのを合図に、彼はゆっくりと動き出した。

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