冷徹外科医と始める溺愛尽くしの政略結婚~不本意ながら、身代わりとして嫁ぎます~
「どうしたら、いいの……」

 突然の出来事に、すっかりパニックを起こしていた。気が動転して、冷静な判断ができそうにもない。


 頼りの母は、遠くへ行ってしまった。凛の実家であるかしの木も、ここからはずいぶん距離がある。
 スマホがなければ、誰の連絡先もわからない。おまけに、お金も持っていない。

「一矢さんに、会いたい」

 会って、ふたりの生活がごっこなんかじゃないって否定して欲しい。これからもずっと一緒だと、もう一度言ってもらいたい。

 その思いだけが私を突き動かして、寒空の下、震える足を踏み出した。










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