冷徹外科医と始める溺愛尽くしの政略結婚~不本意ながら、身代わりとして嫁ぎます~
「優。どんな答えでも、俺は君を咎めたりしない。君の家族を窮地に追い込むこともしないと約束する」
その〝家族〟というのが、三橋家を指していないだろうと直感でわかった。彼の言う家族とは、私の母に違いない。そう、彼の温かな視線が私に伝えてくる。
「……私の実母の名は……坂崎有里子と言います」
それでもやはり、事実を告げるのは勇気がいる。私がそれを明かせば、母はどんな目に遭うのだろうか。正信はどう出るのか。恐怖に襲われて、思わず身を縮こませた。
一矢さんが立ち上がった気配を感じたが、そちらを見る勇気はない。そのままなにかに耐えるように俯いてますます小さくなっていると、私の横に来た一矢さんは、膝の上で重ねていた私の手をそっと取った。
「大丈夫だ、優。正直に話してくれてありがとう。もう少し話をしたいが、いいか?」
触れられているというのに、ときめきよりも恐怖や罪悪感の方が大きくてそれどころではない。
椅子を引き寄せた一矢さんは、向かい側ではなくて私の隣に座った。少し動けば膝が触れてしまいそうな近さだ。
やっとの思いで小さく頷くと、一矢さんは優しい声音のままさらに続けた。
「君には異母姉がいるね。名前は、三橋陽」
知られているとは察していても、実際に言い当てられてヒュッと息を呑んだ。
一矢さんはまるで宥めるかのように、私の手の甲を優しくなでてくる。その彼の手のぬくもりに勇気づけられて、促されるように再び小さく頷いた。
「本来俺が結婚するはずだったのは、三橋陽だった。違うかい?」
「……そうです」
ついに認めてしまった。さすがの一矢さんも、軽んじられたと怒るだろう。三橋側はそれだけのことをしたのだから、ののしられても仕方がない。事情はどうであれ、私も正信に加担したも同然だ。
その〝家族〟というのが、三橋家を指していないだろうと直感でわかった。彼の言う家族とは、私の母に違いない。そう、彼の温かな視線が私に伝えてくる。
「……私の実母の名は……坂崎有里子と言います」
それでもやはり、事実を告げるのは勇気がいる。私がそれを明かせば、母はどんな目に遭うのだろうか。正信はどう出るのか。恐怖に襲われて、思わず身を縮こませた。
一矢さんが立ち上がった気配を感じたが、そちらを見る勇気はない。そのままなにかに耐えるように俯いてますます小さくなっていると、私の横に来た一矢さんは、膝の上で重ねていた私の手をそっと取った。
「大丈夫だ、優。正直に話してくれてありがとう。もう少し話をしたいが、いいか?」
触れられているというのに、ときめきよりも恐怖や罪悪感の方が大きくてそれどころではない。
椅子を引き寄せた一矢さんは、向かい側ではなくて私の隣に座った。少し動けば膝が触れてしまいそうな近さだ。
やっとの思いで小さく頷くと、一矢さんは優しい声音のままさらに続けた。
「君には異母姉がいるね。名前は、三橋陽」
知られているとは察していても、実際に言い当てられてヒュッと息を呑んだ。
一矢さんはまるで宥めるかのように、私の手の甲を優しくなでてくる。その彼の手のぬくもりに勇気づけられて、促されるように再び小さく頷いた。
「本来俺が結婚するはずだったのは、三橋陽だった。違うかい?」
「……そうです」
ついに認めてしまった。さすがの一矢さんも、軽んじられたと怒るだろう。三橋側はそれだけのことをしたのだから、ののしられても仕方がない。事情はどうであれ、私も正信に加担したも同然だ。