冷徹外科医と始める溺愛尽くしの政略結婚~不本意ながら、身代わりとして嫁ぎます~
「愛してる」

 たったひと言に、胸が熱くなる。私のすべてを知っても突き放さない人はいたのだと、抱きしめてくれる温もりが伝えてくれる。
 辛く悲しい過去は、この人にたどり着くための必然だったのだとすら思えてしまう。

「優」

 優しく呼びかけた一矢さんは、そっと体を離して熱い視線で見つめてくる。そのままゆっくりと近づくと、そっと顔を傾けて瞳を閉じた。
 なにをされるのかと悟ったときには、私の唇に彼のそれが重なっていた。

「嫌じゃない?」

 返事なんてできなくて、半ば放心したまま首を縦に振った。
 再び近づいてきた一矢さんは、さっきとは違った角度で口づけてくる。そのままついばむような口づけを繰り返すと、少し体を起こしてくすりと笑いをこぼした。

「こういうときは、目を閉じるものだよ」

 ハッとして俯いた。私の顔は真っ赤になっているはずだ。

「優。俺はこれから、優に信頼してもらえる夫になると誓う」

 そんなの、必要ない。だって私はもう、一矢さんを信じているから。
 そう伝えたいのに、羞恥心が邪魔をしてなにも言えなくなってしまう。代わりに、再び私の手を握る彼の手をぎゅっと握り返した。


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