Hello,僕の初恋
国道をひた走る。
冬の海は深い青色をしていて、いつか見たツリーの電飾みたいにキラキラと光っている。
時折太陽の光が反射して、水色や銀に色を変えた。
「ノンちゃん、それ、ベース?」
隣の市に入った頃に、ミカ先輩が私にそう問いかけた。
私が大きな楽器ケースを大事そうに抱えていたからだろう。
「えへへ、うちのおじいちゃんベーシストだったから、ベースいっぱい持ってるんです」
「ノゾムの壊れたから、持ってきてあげたの?」
「好きな楽器見たら元気出るかなぁって」
それは半分本当で、もう半分は違う理由があった。
私がベースを持ってきた理由。
でもそれを話すのは少し恥ずかしくって、今はやめておこうと思った。