メール婚~拝啓旦那様 私は今日も元気です~

「本当は、最初に会ったときこう言うつもりだったんだ。初めて灯里の住む町に行くとき、車の中で一生懸命考えたセリフだったのに」
言うまでにとんでもなく長い時間がかかったな、と安西は薄く笑った。

「あの日、灯里を目の前にしたら、緊張しすぎて訳のわからないことを口走ってしまった。灯里が偽装結婚に不満があったんじゃないか、その不満を言いたくて俺に会いたいと言い出したんじゃないかって急に不安になって、気づいたら偽名を名乗ってしまってた」

灯里は思いもよらぬ告白に心底驚いていた。
〝ヤマダさん〟は会ったときから堂々としていた。大人の男性ってこんなに頼りがいがあるんだと感心していたのに、実は緊張していたなんて…

「二度目に会ったときに、本当のことを言おうと思っていた。でも、言い出せないままずるずるといってしまい、結局騙す形になった。本当に申し訳ない」
頭を深く下げたあと、安西は真剣な眼差しで灯里を見た。

「週末を一緒に過ごすうちに、本当の夫婦になりたいと思った。いや、元々そう思っていたけど、その想いが強くなった。最初に見た集合写真、あの写真の微笑む灯里を見た時から俺は灯里に魅かれていたんだ」


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