メール婚~拝啓旦那様 私は今日も元気です~


葵に連れられてきたのは、京都で一番格式高いホテル「京都 泉ホテル」だった。

スウェット素材のパーカーワンピースでホテルのロビーに入るときの恥ずかしさといったらない。でも、葵がさっさと歩くので、小走りで後を追いかけた。

たどり着いた部屋には女性が二人いて、「お待ちしておりました」とにこやかに出迎えてくれる。葵は「よろしくお願いします」と灯里をポイっと預けて、またどこかに行ってしまった。

「さ、始めますわよ」
そう声がかかると、灯里はあっという間に顔を塗りたくられ、かつらをかぶせられ、服を脱がされていく。

「お嫁様、ほっそりしていらっしゃるから、カバーするためのタオルがたくさん必要ですわね」
地味に気にしているところをつかれ傷つくが、それに答える隙も与えられず、お腹にタオルをグルグル巻かれて着物を着付けられていく。

二人がかりの支度はあっという間に終わり、最後に綿帽子を被せられたら、花嫁が出来上がっていた。

「この白無垢は和泉家の花嫁様が代々受け継いできたものだそうですよ。お嫁様もどうかお幸せに」

にこやかな二人組に見送られ、連れて行かれた部屋で灯里はボーっと椅子に座っていた。


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