メール婚~拝啓旦那様 私は今日も元気です~
夕食をすまし(驚いたことに冷蔵庫には食材が入っていた!)お風呂に入り終えた灯里は、ウロウロと部屋の中を歩き回っていた。
書くときの癖。今なぜこれをしているかというと、安西に初めてのメールを入れようとしているからだ。
報告は一週間に一度と指定されている。本来なら、島の様子を確認してから初めてのメールをすればいいのだが、到着の報告と準備してくれたたくさんの物のお礼を言わなければ、と思ったのだ。
報告書のフォーマットは指定されていない。『灯里さんの書きやすいように書いてください』というのが今西の指示だ。
ビジネスの報告書ってどんな感じなんだろう。灯里は会社勤めをしたことがないのでわからない。
淡々と事実のみを書くべき?でも、それじゃ物寂しい。
今の状況は就職したのと同じだけど、シチュエーション的には、昔読んだ童話に近い気もする。
孤児の女の子が顔も見たことがない他人の男性に支援してもらい、宿舎付きの学校に通う。学校生活の様子を知らせるために、その男性に定期的に手紙を書くという話。物語は、女の子と支援者の男性が結ばれるというハッピーエンドで終わるので、そこが灯里とは違うけれど。
その女の子のように手紙を書くということでいいかな。灯里にとって安西社長はまさに支援者そのものだし。
よしっ。心を決めて、灯里はパソコンをパチパチと打ち始めた。