離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
お互い仕事があるので平日は忙しないが、休日が合った日はデートに出かけたり、家で一緒に料理をしたり。
スキンシップは出かける前のキスで留めていたが、夜遅くに帰宅して佳乃が先に寝ている時など、無防備な彼女に何度襲い掛かりたくなったことだろう。
『……いや、ダメだ。まだ早い』
佳乃の上に四つん這いで覆いかぶさりながらも葛藤し、そんな風に自分をなだめることもしばしば。
佳乃がそれなりに俺に好意を抱いてくれているのはわかっていたが、それが恋愛感情なのかどうかはまだ判断できなかったため、独りよがりな行為で彼女を傷つけることだけは避けたかった。
……本心ではとても、したかったけど。
そんな心の叫びは無視して理性的に結婚生活を送ること一年。
記念日に浮かれて花束まで用意して帰宅した俺を待っていたのは、思いつめた顔の佳乃と、離婚届だった。
『真紘さん、この一年間で一度も私に欲情してません、よね……?』