離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
料亭で顔を合わせた彼女の肌は透けるように白く、着物の衿から覗く首は細い。一見儚げな印象だが、座っている時の背筋はまっすぐで、凛としていた。
アクの強い政治家である朝香先生とは似ても似つかぬその姿に一瞬で興味を惹かれ、この子と恋がしたいという衝動はさらに高まった。
『俺、この人を好きになろうって決めたら、本当になれるタイプなんです。佳乃さんのことも、絶対に好きになる』
初対面のお見合いでできる、最大級の告白だと自負して宣言する。
しかし、佳乃は自信なさげに睫毛を伏せた。
『私に、どんな欠点があってもですか?』
おそらく、今までの恋愛はその〝欠点〟のせいで失敗してきたのだろう。そんなつらい思い出は、俺が幸せな記憶で塗り替えてあげたい。
彼女がもっと自分を好きになれるように、まずは俺がありのままの彼女を受け止め、愛してあげたい。
それは俺自身が求めていたことでもあったので、いつか佳乃が俺を心から愛してくれる日が来ますようにと祈りながら、彼女との結婚生活をスタートさせた。