離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

 至近距離で瞳を覗かれ、私は少し考える。

 数々の神殿に博物館、美術館、エーゲ海に浮かぶ美しい島々。訪れたい場所はたくさん考えてきたけれど……。

「真紘さんさえそばにいてくれれば、どこでもいい」

 キュッと、彼の服を掴みながら告げた。

 ずっと不安だったから、こうして手の届く距離にいてくれることを、今は噛みしめたい。

 真紘さんは少し頬を赤らめると、コツンとおでこ同士をくっつけて囁く。

「あんまりかわいいこと言うと、日本に帰るまでずっとベッドの上だよ」
「構いません」
「久しぶりだから、優しくする余裕もない」 
「それでもいい」

 私の意思を確認した真紘さんは、私をソファから軽々お姫様抱っこし、ベッドまで運ぶ。

 ジャケットとネクタイをうっとうしそうに脱ぎ捨てた彼は、優しくする余裕はないと宣言した通り、荒々しいキスで私の唇をふさいだ。

 貪るように唇を食まれ、濡れた舌が乱暴に口内をかき回す。お腹をすかせた動物がやっとの思いで獲物にありつけたような、野性的なキス。

 私に会えないせいで飢餓感を募らせていたのだと思うと、彼が愛しくてたまらない。

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