離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

「私もいや、帰りたくない……っ」
「じゃあここにいればいい。俺のそばに、ずっと」

 それでも、そんなワガママが通らないことはお互いにわかっている。

 来たるべき日が来たら、私は日本に戻る。真紘さんはここで仕事を続ける。わかってる、ちゃんと。

 濃密な吐息と蒸発する汗、肌がこすれ合う音で満ちた豪華絢爛な部屋。私の上に跨り、快楽に耐えながら時折低い声を漏らす真紘さんの愛しい姿を絶対に忘れまいと、私は胸に誓った。


 残りの滞在も、すべてベッドの上で過ごし……とはさすがにならず、ふたりでのんびりギリシャ観光をした。

 真紘さんは大使館に勤めると決まってから、現地の人々が誇りに思っているギリシャ神話を勉強したそうで、有名なオリンポスの十二神について、遺跡や博物館で色々と解説をしてくれた。
 
 散策の後、ランチに訪れたのはギリシャの大衆食堂タベルナ。むき出しの石壁がお洒落な店内で楽しめるのは、ギリシアの定番料理だ。

 ひき肉とジャガイモ、なすを重ねて焼いた定番の家庭料理ムサカや、山羊乳から作ったフェタチーズとオリーブの実がゴロゴロ入ったギリシアサラダ、エーゲ海産のタコのグリル。

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