離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
どれも初めての味ながら美味しく、ワインと共にゆっくりおしゃべりをしながら頂く。
「アポロンって真紘さんみたいですよね」
「えっ、そうかな? どこが?」
「太陽、芸術、音楽、詩……たくさんのものをつかさどる神様で、その上予言もできる。見た目もハンサムですし、すごく真紘さんっぽいなぁって」
博物館で見たアポロンの大理石像は、とても凛々しく美しい顔立ちをしていた。くるくるカールした髪も、真紘さんのパーマヘアを彷彿とさせる。
「なるほど。アポロンには悲恋話が多いから、恋には不器用みたいだしな。それを言うなら、佳乃はアフロディーテだ」
白ワインのグラスを傾け、真紘さんが楽しげに話す。しかし、私がアフロディーテだなんて恐れ多すぎて、ブンブン首を左右に振った。
「アフロディーテ、愛と美の女神ですよね? 全然私とリンクするところないですよ。彫刻も女性的で色っぽかったですし」
「俺の目には佳乃がそう映ってるってことだよ。それに、自分に言い寄る牧神パンを、アフロディーテがサンダルで叩こうとする像もあったろ? 重役を引っぱたいた佳乃と似てると思うけど」