離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです
『ヨシノサン、オメデトウ、オメデトウ』
「あっ、馬鹿、黙れっ」
すぐそばで三号くんの声が聞こえたかと思うと、それにかぶせるように、専務の声まで聞こえた。
えっ? まさかまた私が心配でそばにいたり……?
「もう隠れていてもしょうがないんじゃない?」
「だな。おめでたい日はみんなでお祝いするのがいい」
加えてまたも知っている人の声がしたので周囲をキョロキョロすると、さっきまで私と司波さんが座っていたベンチのすぐ後ろで、三人組が立ち上がる。
中央にいたのは雨音さんで、笑顔でこちらに手を振った。
「雨音さん、それに、専務と常務も……」
休日なのでそれぞれ私服姿だ。専務だけ気まずそうに、そっぽを向いている。
「佳乃ちゃんたちの再会がちょっと気になっていたから、空港デートもいいかなって彼と来てみたの。そしたら偶然専務と会ったから、一緒に見守ろうってことになって」
「……いや、俺は別に」
話を振るなと言わんばかりに、専務が目を伏せる。
すると、「ふうん、あれか」とボソッと呟いた真紘さんが、私の横をすり抜けてスタスタと彼の前に歩いていった。