離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

「ねえ佳乃、俺、本当にアポロンかも」
「えっ?」

 帰宅すると、真紘さんはリビングのローテーブルに数えきれないほどのお土産を出しながら、そんなことを言った。ソファで首を傾げる私に、彼がひとつの紙袋を差し出す。

「開けてみて」
「はい」

 袋の中を覗き、不織布でラッピングされたやわらかいものを取り出す。そこから出てきたのは、真っ白で丸みを帯びたフォルムの、小さなファーストシューズ。

「えっ、これ……」

 私の妊娠を知らなかったはずなのに、どうして赤ちゃん用品を?

 真紘さんは目を丸くする私の隣に腰かけ、照れくさそうにはにかむ。

「お土産を色々見てる時に、自分でもなぜかわからないけど無性に子ども関係の服とかグッズが気になってさ。今はいないけど、近い将来佳乃との間に授かるんだから、買っておいてもいいかなって、気づいたら手に取ってた」
「なるほど。確かに、アポロンのごとく神様のお告げを受けて、私の妊娠を予知したみたいですね」
「うん。でも、帰ってきて実際に佳乃のお腹を見て思ったんだ。別に俺は不思議な力で予知したわけじゃなくて、単純に自分の子が欲しかったんだなって」

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