離婚を申し出た政略妻は、キャリア官僚の独占愛に甘く溶かされそうです

 優しい目をした真紘さんが、私のお腹に大きな手を置く。すると、赤ちゃんがちょうどぐにゃりと動いて、内側から私のお腹を押した。

「うわっ、今のって、胎動?」
「はい。八カ月に入ってから、結構激しくて」
「すごい。いるんだな……ちゃんとここに」

 感じ入るように呟いた彼は、続けて「決めた」と正面を向く。

「俺、本格的に佳乃のお父さんの元で政治の勉強をしようと思う。この子の未来が少しでも明るくなるように。胸を張って、自分の暮らすこの国が好きだと言ってもらえるように」
「真紘さん……。応援します、私も」

 彼の両手をギュッと握り、その目をしっかりと見つめる。

 生半可な覚悟じゃ飛び込むことのできない世界だと思う。それでも、真紘さんならうまくやれると信じてる。だって、私の自慢の旦那様だもの。

「ありがとう」

 彼の目が優しく弧を描いたかと思うと、次の瞬間野性的な色香を纏って細められる。長い指先に顎を掬われ、私は甘いキスの予感に目を閉じた。 

  

                                 
FIN


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