マリアの心臓
愛する人



「優木まりあ!」

「は、はひぃっ」

「今日こそ言わせてもらう!」

「な、何でしょう……?」




突然ですが。

もしかしたら、アタシ、今。

告白、されてるかもしれません。




「目障りなのよ!!」




……悪い意味で。



あくる日の昼休みのこと。
校舎裏に呼び出され、向かった矢先。

なぜか、隣のクラスの女の子3人に、壁にドンッと追いやられ。


そして現在、お叱りの言葉をもらってしまった。




「好き勝手しやがって!」

「いったいどういう神経してんの!?」

「し、神経、ですか……? 神経は至って健康に働いて……」

「そういう意味じゃない! バカにしてんの!?」

「天然のフリ? 心入れ替えたって聞いたけど、キャラ変したってこと? ムカつかせる才能だけは天下一品ね」




怒ってるかと思えば、褒められた?
でも形相も、口調も、怒ってるし……。

頭の中、大パニックだ……!


この3人とは廊下ですれちがう程度の関係だったと思うけど……。




「またふざけたことぬかしたら……どうなるかわかってるよね?」

「えっと……? あ! もしかしてまた劇を――」



――バチンッ……!



「し……ッ……、え……?」




右の頬に衝撃が襲った。

じんじん、じんじん、と。
腫れたときのような熱に、侵される。


何が、起こったのか、すぐには理解できなかった。




「ふざけるなって言ったよね? うちら、遊びでやってるんじゃないから」




躊躇がなかった。

さも当然のようにアタシの頬を叩いた。


そのことをようやっと頭が理解すると、全身が震え上がった。


< 64 / 155 >

この作品をシェア

pagetop