たとえ9回生まれ変わっても
◯
期末テストが終わった。
「できたー?」
「いつもよりできた気がする!」
「わたしも! 森川さんが教えてくれたおかげだよー」
井上さんと吉田さんがはしゃいでいる。
「森川さんはどうだった?」
「……うん。まあまあ、かな」
わたしは苦笑いをしながらうなずく。
正直に言うと、あまりテストに集中できなかった。
問題を解いているときも、頭の中は紫央のことでいっぱいだった。
こうしている間にも、紫央がどこかへ行ってしまうような気がした。
「クリスマス会やろーよ」
「いいね、やろやろー」
クラスのみんなが盛り上がっている。
井上さんと吉田さんも行くみたいで、話に入っている。
「森川さんも一緒に行こうよ。きっと楽しいよ」
「わたしは……」
行きたい。
クラスでのイベントなんて、いままで一度も行ったことがない。
そういうイベントは、仲のいい人たちだけでやるものだと思っていた。
誘ってもらえるのは嬉しい。
だけど、いまはーー
「わたしは、やめとくよ」
わたしは首を振った。
いまは、どうしてもそんな気分にはなれなかった。