LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「本当に、面の皮が厚いよね?
親子揃って」
さすがに、目の前の眞山社長は今は笑っていなくて。
「辻山さん、自分も?って顔してるけど。
母親がベリナン社長の秘書なだけで、こうやってうちの会社に入れたと思う?
うちの父親が、ちょっと手を回してるの分かってるでしょ?
それ以前に、母親とその不倫相手の社長が働く関連会社に、こうやってコネを使って就職するって、
面の皮が厚いだろ?」
確かに、この人の言う通りかもしれない。
流石に、現在母親達の居るベリナンを受ける事はしなかったけど。
傘下のこの会社ならば受かるだろうと思い、受けた。
「眞山社長…。
今日私を呼び出したのは、この会社を私に辞めろと?」
この人からしたら、父親の愛人の娘が同じ会社で働いているなんて。
許せないかも、しれない。
「そんな事なら、一々滝沢君を呼んでないよ」
そう言われ、思い出したけど。
滝沢さんは、弁護士。
「訴えようと思って、君の母親を」
そう言って笑う眞山社長から、滝沢さんに目を向けると。
先程の、奥さんの事を話していたような柔らかい表情ではなくて、私を敵だとするような冷たさを感じた。
「訴えるって、母親の不貞をですか?」
「滝沢君、電話で話した通りそうなんだけど。
それって、難しいんだよね?」
「そうですね。民法709条を用いる事になりますが。
例えば、眞山社長のお父様と辻山さんのお母様の不貞行為で、
息子である眞山社長が、もっと精神的に苦しんでいるとか、通院記録等で証明出来れば、付け入る隙はあるかもしれませんが…。
現状では、妻ではなく子が夫の貞操義務を、というのは難しいです」
眞山社長に不利になる事を、滝沢さんはそうやって私の前で話すけど。
「そっか。
確かに父親に愛人が居ようと、俺には関係ないもんね」
眞山社長も、そうやって笑っていて。
この人達の目的が何なのか、分からない。