LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「でもね、訴えてやるって、騒ぐ事は出来るから。
裁判を起こす事も。
勿論、勝てる見込みはないんだけど」
ほんの少しずつ、眞山社長の言いたい事が分かって来た。
「そうやって騒がれたくなければ、
私に、何かしろと?」
そうやって、眞山社長のお父さんと、
うちの母親との不倫関係が公になれば…。
うちの母親は、シングルマザーだけども、
妻子ある人と、ましてや自分が秘書として担当している社長とのその関係。
公になれば、困る。
私だって、自分の母親がそうやってベリナングループ社長の愛人だなんて。
傘下の会社に居る私は、社内の人間にそんな事を知られたくない。
眞山社長は、どうなの?
父親が、秘書に手を出していただけで。
それ程、それは誰かに知られても構わないくらいに、大した事ではないのかもしれない。
「あまり時間がないから、手短に話すけど。
辻山さんには、俺と結婚して貰おうと思って」
その言葉に、え、と、口が開いたままになってしまう。
「最近、うちの父親に早く結婚しろと急かされていて。
いまだに、父親は川邊会長の娘との結婚を推していて」
「で、でも、私なんかでいいなら、
眞山社長なら結婚相手なんか引く手あまたじゃないですか?」
なんなら、奥村さんでも、と思うけど、
それは口には出さないけど。
うちの会社でもこの人に憧れる女子社員が多いように、容姿だって整っているし。
「うちの父親、家柄とかに拘るタイプで。
父親は自分の代で会社を興したけど、元々も大きな呉服屋の息子で。
三男坊なんだけどね。
そうやって、生まれながらの坊っちゃん気質で」
「なら、本当に私なんかじゃ…」
「だから、辻山さんにさっき言っただろ?」
そう、ニヤリと笑う。
既に、自分の父親を、私を脅したように…。