LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「…分かりました。
眞山社長と、結婚します」
私の事に、晴君を巻き込めない。
「そう。良かった」
そうやって、眞山社長は満足そうに笑うけど。
私と結婚出来る事を、喜んでいるようには思えない。
「何故、私なのですか?」
「それは、そのうち話すよ。
憎いと思う、君が良かったから」
やはり、眞山社長は私が憎くて。
それは、父親の愛人の娘だからなの?
先程、この人は父親に愛人が居る事を、なんとも思ってなさそうだったから。
「早く、書いて」
そう言われ、震える手で自分の名前を書いて行く。
既に、私の所には印鑑が押されていて、それも母親が、と、なんだか悲しくなった。
書き終えた頃、
「滝沢君、後は任せていい?
ほら?弁護士なら戸籍謄本とか取れるでしょ?」
「はい。
今日中には提出しておきます」
そう言って、滝沢さんはその婚姻届を鞄にしまった。
「そうか。
今日には、千花は俺の妻か」
そう笑いかけられて、怖くなる。
この人の、妻になる事に。
「分かっていると思うけど、篠宮君とは別れて。
今日中に。
じゃないと、不貞で篠宮君を訴えないといけなくなるから」
先程の、夫婦間にある貞操の義務。
この場合は、この人が私の夫だから、
晴君は、妻である私の不倫相手で…。
「そうそう。連絡先教えて?
そして、今日からその都度千花は俺に行動を報告して」
「はい…」
私は、制服のポケットに入れていたスマホを取り出し、眞山社長と連絡先の交換をした。
普段なら、仕事中は控え室にスマホを置いているのに、今日に限って持っていて。
遅かれ早かれ、こうやって連絡先を眞山社長と交換しなければいけないのかもしれないけど。
「千花、もう仕事に戻っていいよ?」
そう笑う顔は、早くここから居なくなれと言っているようで。
「…失礼します」
そう言って、私は眞山社長だけじゃなく、滝沢さんの顔も見る事なく部屋から出た。