私の愛は···幻

🎹裏切りと痛み


今日は、先生に依頼されて
シャングリ・ラホテルのラウンジで
ピアノのを弾く事に。

演奏を終え
立ち上がると目の前が真っ暗になり
店長に支えられる。

店長は、
「体調悪いのに頼んだのでは?」
と、心配して
「部屋で休んで帰りなさい。」
と、言われた。

そこで······

健人さんと彼女が
抱きあっている姿を見た。
「花奈は、がんばっていたよ。」
と、彼女を抱きしめながら
優しく言う健人さんに
彼女は、健人さんの首に腕を回すと
二人は、キスをして
部屋の中に入って行った。

愛されていると
思っていたのは、私だけ······?



健人さんが
家に帰ってくることもなく
会わない日々が二ヶ月を過ぎていた。



実は······

私は、妊娠しているのがわかり
嬉しくて、健人さんに
ラインをして
《 少しだけで良いので
       連絡下さい。》
と、送ったが
健人さんから連絡はなかった。
( 花奈がラインを消していた。)


二人の姿を見て
どこをどうやって帰ったのか
マンションの玄関に
座り込んでにいたが······

お腹が急に痛みだし
その場にうずくまる。

だが、朝まで待てば
落ち着くかもと
なんとか這って身体を横にする。

痛みは、治まったり
痛んだりを繰り返し
朝まで眠る事が出来なかった。

朝になると出血量が増え
慌てて救急車を呼んだ。

病院に運ばれた時には
流産をしていた。

先生には、離婚調停中だから
誰にも連絡しないで欲しいと
お願いして二日間入院した。

お腹の痛みと
もういない赤ちゃんを思い
涙が止まらなかった。

愛されてもいないのに
一人で、有頂天になって
赤ちゃんができた事も
喜んでいたから······

赤ちゃんは、こんな親は
嫌だったんだよね。
だから······いなくなったんだよね······

入院中も一人
マンションに帰っても一人

泣き疲れて眠っていたが
携帯の音で目が覚めて
電話に出ると
「天音、玄関あけろ。」
「えっ?温斗?」
「ああ、ゆっくりで良いからな。」
「·······うん。」
ベッドから降りて
ゆっくり玄関に向かう。

玄関のガギを開けると
ドアが引かれて
温斗の顔が見えた。

温斗は、私を見るなり
お姫様抱っこをして
「寝室は?」
「わっ、えっと、あっち?」
と、指をさすと
ベッドに私を
そっと下ろして
「横になれ。」
と、言うから横になると
温斗は、ベッドに腰掛けて
なぜ、ここにいるのかを
話してくれた。
< 13 / 65 >

この作品をシェア

pagetop