私の愛は···幻

🎹倒れる天音


琴は、倒れる前の天音の顔が
頭から離れなかった。

三日経っても天音の意識は
戻らず、一度おさめた
琴の怒りは、沸々と沸き上がっていた。

琴は、安田 大吾と
結婚して安田 琴になったが
正式は、安田・マリア・琴だ。

旧姓は、KOTO・マリア・ウォルトン
と、言う名だ。

ウォルトン家は、
アメリカ最大財閥だ。

琴は、三人兄妹の末娘。

琴を溺愛する二人の兄は、
琴が、しがない大学教授と
結婚することに反対したが、
ハーフであった母親が
クォーターである琴の恋を
心配と同時に応援したため····

母親が、大好きな兄達は
認めざる得なかった。

だが、病気で亡くなるまで
大吾は、琴を大切に大事にしていた。
あのウォルトン家に頼る事もなく。
そんな夫の大吾を兄達は認めていた。

琴は、とても幸せだった。
優しい夫に二人の娘の涼と鈴がいて
そして、孫の天音と温斗がいて。

それなのに
私の大切な孫を
こんな風にするなんて
やはり、あの結婚を反対すれば良かった。

調べると·····
堂基 泰人(健人の父)の
人間性が疑わしかった


だが、自分の時に母親が
後押ししてくれたから、と。

私の判断ミスだと
琴は、天音の真っ白な頬を
撫でながら涙がでる。
『琴様。』
『寺田、ミロお兄様に連絡して。』
長男のレオお兄様は
体調か思わしくなく隠退されて
ゆったりと過ごされている。

今は、次男のミロお兄様が
ウォルトン家の総帥をされている。

琴は、二人の兄と兄の家族とも
仲が良い。
琴自体もミロから頼まれて
アメリカの一部の会社を
任されている。

今は、少しずつ温斗に任せようと
している所だ。

ミロお兄様は、
直ぐに調べ上げて
天音がされた全てを知り
怒り心頭だった。

堂基も副島も抹殺されるぐらいの
勢いに琴は嬉しかった。

全てを兄に任せたが
天音は、心を痛めるかもしれない
と、思っていると
『おばあさまのすることに
天音が何か思う事はありません。
天音は、おばあさまが大好きですから。』
と、言う温斗に
『温斗····ありがとう。
でも、この結婚は反対だったの。
だけど·····私のミスだわ。』
と、言うおばあさまに
温斗は、おばあさまを抱きしめ
『大好きなおばあさまが
辛いと天音が苦しみます。』
と、言うと
『そうね。』
と、言うとおばあさまは、
少し笑ってくれた。
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