私の愛は···幻
1️⃣8️⃣

🎹アル···どうして


今、俺はドイツにいる。

ドイツでオーケストラとの演奏と
単独のリサイタル為。

天音が妊娠中で
本当は離れたくなかったが
天音から
『待っている方々が
いるのだから、行って。』
と、言われて渋々。

ピアノを奏で始めたら
ピアノの音色だけが自分をとらえる。
不思議な感覚。

ドイツの仕事も
自信を持って終わらせられた。
その高揚感もあり
スタッフと食事へ。

そこへ·······

天音が結婚したと知らされた時に
何度か関係をもった
アマンダがやってきた。

アマンダは、ドイツのオーケストラの
バイオリニストだ。

ごく一部の人達は、
俺達が付きあっていた事を
知っている。

だが、本当に数週間だけだ。

アマンダは、アマンダでしかなく
天音ではない。
天音に替る人などいない
と、バカな俺はそうなって気づき
直ぐに終わりを告げた。

プライドの高いアマンダは、
自分から振ったと吹聴していたが·····

俺には、痛くも痒くもないから
放置していた。

『あら?アルフレッド。
ご無沙汰、元気?』
『アマンダ。
本当に久しぶりだね。
俺は、元気だよ。』
『どう?一緒に。』
『嫌、遠慮するよ。』
と、言うと
『あら?そう。』
と、言い去ろうとして
俺が飲んでいたワイングラスを倒した。

わざとなのか、ショールがあたったのか
俺のスラックスにワインがかかり
パウダールームで
拭き取りをスタッフにやって貰っていると
アマンダが入ってきて
謝罪をして、自分がやるからと
変わった。

あらかた取れたから
『アマンダ、もう良いよ。』
と、言ってパウダールームを
出た所をパパラッチから撮られたみたいだ。

その時、気づいていなかった。
翌日に母親から連絡で知ることに。

【神の手を持つ
 ピアノ界の貴公子
  アルフレッド・ブレンデル
   あの噂のあったバイオリニスト
    アマンダと密会か!!】と。


パウダールームから二人で
出て来た写真と共に。

『くそっ、やられた!』
と、思っていた矢先に
ミロ様より
怒りの電話があり説明するが
『言語道断』と電話を切られた。

『天音』と、思い携帯を鳴らすが
繋がらない。

すると、温斗から
『ヘタレが頑張って
天音を手に入れたら
もう、良いのか?
バカがっ。
天音が今、どんな状態か
わかっての事だよな。
まぁ、ミロ大叔父様が動いているから
簡単には行かない。』
と、言われて
説明しようとしたが
俺が、どんなに天音を想っているか
一番わかっているやつが言っているの
だから、理由があってもなくても同じだ。

俺の軽率さが招いた事だ。

天音·····あまねっ····あまね·····

俺は、ドイツから丸一日出れなかった。
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