私の愛は···幻
1️⃣9️⃣

🎹あれから



『琴音。
私達は、席で見てるからね。』
『大丈夫だよ。
俺と天音の娘なんだから。
いつも通りの琴音で。』
『はい。
ありがとう。パパ、ママ。』
と、少し緊張気味の琴音。

今日は、娘・琴音の大学卒業演奏
ソロで奏でる。

琴音は、アルと同じ道を進む。

『バ〜カ。
お前のピアノは、親父や母さんには
ない音色なんだ。
そんな顔するな。』
と、言いながら琴音の頭をそっと
撫でるライラに
『お兄ちゃん。』
と、ライラ大好きな琴音は
嬉しそうに
『来てくれたの?』
『ああ。琴音の初舞台だから。
叔父さん、人使いが荒くて
やっと、終わらせてきた。』
『だれが、人使いが荒いって?』
『あっ、温斗おじ様。』
『琴音、頑張ってこい。』
『はい。みんなありがとう。』
と、みんなに笑顔で答えて
舞台に行く琴音。

『温斗もライラもありがとう。』
ライラは、温斗と一緒に
ウォルトン財閥の仕事をやっている。

色々、将来を考えて大学に進み
バイトもやってみたが
温斗との仕事が一番面白かった
みたいで本職にしたようだ。

ライラのピアノも素晴らしいが
ピアノのは、趣味で良いらしい。

『はぁ〜。俺の言葉より
ライラの言葉のほうが
元気になるなんて。』
と、嘆くアルを笑いながら
『そうだね〜。
琴音は、お兄ちゃん大好きだからね。
でも、パパの事は、
凄く尊敬してるって言ってたよ。』
と、天音が言うと
アルは天音を抱きしめ
『父親の威厳ある?
二人のママである天音に
べったりでヘタレの俺に。』
『うふふっ。』
と、笑っていると
『親父の母さん好きは
ずっと見てきたから。
気にならない。』
と、言うライラに
『本当に小さい時から
ずっとだぞ。
逆に気持ち悪くないか?』
と、温斗が呆れ気味に言うから
『温斗、気持ち悪い言うな。』
と、言うアル。
『温斗、アルをいじめないで。
かすみちゃんにいいつけちゃうよ。』
と、言うと嫌な顔をして黙る温斗
『···················』
『あれ?温斗叔父さん?』
と、日頃 温斗にいじめられてる?
ライラは、ここぞとばかりに·····

温斗にヘッドロックをされていた。

温斗は、このまま結婚しないかなぁ
と、思っていたが······
うふふっ、ミロ大叔父様の息子の
カイロ君の同級生である
宮本 かすみちゃんと出逢い
恋に落ちた。

かすみちゃんは、温斗より
一回り下だが、しっかり者の美人さん。
とってもお似合いの二人。

『きゃっ。』
『また、温斗とかすみちゃんの事
考えてる。天音は俺の事だけ
考えてるの。』
と、アルに抱き締められて
可笑しくて、また、笑ってしまう。

ライラと温斗は、呆れながら
席へと向かった。
『アル、私達も行こう。』
と、言う私に
『う〜ん。』
と、私の肩に顔を埋めて言うアルの
背中をポンポンとすると
少しして、アルは顔をあげて
私の手を繋いで歩き始める。

アルは、あれ以来
自分から私が離れて行きそうで
不安みたいだ。

そんな事、有りえないのに。
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