悪役令嬢の幸せ愛人計画〜王太子様に(偽)溺愛されています〜
 さらに、それぞれの名前の傍に母親の身分を書いていく。

「遠くの国の王女だった王妃陛下の子供が、第二王子。俺の母親は身分の低い貴族出身で側室の末席。第三王子の母親も側室の一人だけど、国内の有力貴族だよ。
 今は各王子の後ろ盾の貴族が争っている状況」

 ユリアーネは眉をひそめる。
(どこの国の貴族も、派閥争いなんてものはあるのね……)

「第一王子だから、優勢という事はないのですか?」
「優勢だよ」

 リーヴェスは頷いた。

「レームリヒト王国は長子が王太子になるから、今は俺が王太子だね。王太子という事もあって、文官にも武官にも派閥貴族は多いよ。まあ、長子だからと言って王太子になるのは納得がいかないと考える者たちもいるんだ。特にそういった者や、己の利の為に俺以外の王子の派閥に付く者達もいるし、外戚になりたい者達もいる」

 リーヴェスは肩を竦める。
 地味に苦労してるんだな、とユリアーネは他人事のように思う。どこの貴族も一部は厄介のようだ。

「第二王子のコルネリウスは、外交官をやっているだけあって、文官の貴族が派閥に多い。そして、第三王子のヴァイスは、軍の役職に就いているから、武官の貴族が派閥に多い」

 そこまで聞いて、ユリアーネは首を傾げた。

「それが、婚約者様との婚約破棄にどう関わってくるのですか?」

 これだけでは婚約者との婚約破棄ではなく、王位継承権争いである。
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