闇に咲く華ー偽りの華ー
あれから何度か押し問答があったが、頑として譲らない大樹さんに私が折れてしまった。
部屋に連れてこられ、どうしたら良いか分からずにいると、当の本人は大きなソファーに横になっている。
寝たいならベッド行けば良いのに…。
思わず言ってしまいそうになった言葉を飲み込む。
私って思っているよりも性格が悪いかもね。
この地味な沈黙が嫌で、荷物をある程度使えるようにセットしていく。
でも最小限な私の荷物は、ものの数分でセットし終えてしまった。
手持ち無沙汰になった私は、頭を整理させる。
「計画から逸脱しているわね。」
大樹さんに聞こえない声で呟いた。
私は覚悟を決めて彼処を出たの。
休暇という名のー…。
でもその前に、詩月の顔を見たくて思わずここへ寄ってしまった。
それが、誤算だった。
…まさか、ここでお世話になるなんて。
そして何故だか、清宮大樹…彼に気に入られている…のか。
"総長室"という特別な部屋を使うことになるなんて。
「終わったか?」
「えぇ。」
「ここは敵襲が来たとしても、ロックを掛ければ何処も入れないようになってる。安心して過ごせ。」
大樹さんの言葉に頷く。
"ロック"という言葉を聞いて、改めて倉庫なのに凄いセキュリティだなと感心してしまう。
「大広間に戻るぞ。」
その言葉の合図と共に、私たち二人は部屋から出た。