闇に咲く華ー偽りの華ー
「ここは、自分のやれることは投げ出さずにやる決まりなんだ。お互いが支え合っているんだよ。まぁ、ひとりは完璧にこなすんだけどね。」
お互いが尊重し支え合っている…か。
羨ましいな。
「あの、ひとりは完璧に…って、誰なんですか?そんな超人。」
「大樹だよ。」
ひ…大樹さん!?
驚いている私を見ながら、司さんは微笑んでいる。
「姐さんがすごくてね。人に迷惑掛けないように、これからの未来のために小さい頃から色々とやらせてたみたいなんだ。皆が疲れきっている中、大樹だけが身の回りも、食事も後片付けも全てパーフェクトなんだ。」
…一番やらなそうな感じしてるのに、完璧にこなすの!?
「信じがたいわ…。」
私の言葉に、見た目があれだからねと笑いをこぼす。
そう…何を申そう、187センチの背は威圧感たっぷりで、漆黒の眼は誰も逃しはしないと言わんばかりの鋭さだ。
しかし他のメンバーと関わるところを見ると、その鋭さは少しばかり柔らかくなっているように感じる。
私になんて、ちびって悪態ついてくるのに…。
彼は、見た目で判断されないように、信じがたいほどの努力をしているのかもしれない。
「総長であるためにも、努力を惜しまない…か。」
大樹さんとの団欒を見ていると、私はここに居て良い人間なのか…と、問いたくなってしまう。
ん?と司さんが聞き返すようにするも、私は痛む胸に気がつかないフリをした。