お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
 体を離して彼を見上げると、首を傾けながらわたしの頬を撫でた。
 それが心地よくて、触れてくる掌にぽうっとしながら彼の首に腕を回して再びくっつこうとしたら、くすっと笑われた。

「かわいいな」

「……今日はずっと司さんにくっついていたいです」

 甘えるようなことを言うのって、結構恥ずかしい。勢いに任せて言ってしまい、時間差で羞恥心が襲ってくる。

 それでも司さんから離れないのは、この温もりが恋しいから。

「君は俺をその気にさせるのが上手だよ」

 甘さを含む声色とともに彼の息が耳にかかって、それだけで体が熱くなる。
 見つめ合って唇を重ねると、すぐに彼の舌が口内へと入りこんできた。

 眩暈がしてしまいそうなその感覚が好きだなんて、変なのかもしれない。
 司さんの想いを感じながら、わたしはそっと目を閉じた。



 その後、司さんは『俺の両親に君を紹介したい』と言って、彼の両親と食事をすることになった。

 ちゃんと紹介しておきたいからと言ってくれてうれしくなったけど、すぐに緊張でいっぱいになってしまい、当日までそわそわして大変だった。

 恋人の両親に会うなんて。しかも、自分の勤めている会社の社長。緊張してしまうのは当然だと思う。
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