お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
「大丈夫か?」

 大家さんたちが話しているのを呆然と見つめていたら声をかけられて、振り向くと涼本さんがわたしの方へ歩いてきていた。

「す、涼本さん、どうして……」

「なにがあったのか気になったんだ。もしも危険なことだったら、君を降ろしてそのままにするわけにはいかないだろう」

 車を降りてから十分以上は経っているのに、心配してここにいてくれたの?

 どうしたらいいのかわからなくて心細い状態だったから、さっきまで一緒だった涼本さんがそばにいて少しだけほっとした。

「話が少し聞こえたけど、水漏れ?」

「は、はい。アパート全体が大変みたいで、わたしの部屋もびしょびしょでした……こんなことはじめてで……大家さんと話をしたくても他の人と話しているし、どうしたらいいのかわからなくて」

「そうか、わかった。君はとりあえず落ち着いて。俺が話を聞いてくるから、ここで待っていてくれ」

 まだ混乱が抜けないまま必死で説明をしたわたしの頭を、涼本さんが宥めるようにポンポン、と撫でてから大家さんのところへ歩いていった。

 優しさを感じて、その姿をぼうっと見つめていた。
 涼本さんは大家さんから今後のことなど詳しいことを聞いてきてくれて、戻ってくるとそれをわたしにゆっくりと説明してくれた。

 水道工事をすることになるらしいが、アパート全体のものなのですべての部屋で工事が必要になるかもしれない。
 その他、詳しいことは明日以降の説明になると。

 急なことなので、被害の少ない部屋の住人はとりあえず、今日は自分の部屋で過ごすようだ。被害の大きい住人はホテルなどの利用を検討してもらいたいという話だが、ホテルは週末で今からチェックインできるところが近くでは見つからない状態。

 知り合いなどに泊めてもらえるようであれば、その方がいいのかもしれない。
< 22 / 110 >

この作品をシェア

pagetop