お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
 部屋着に着替えてきた涼本さんがダイニングテーブルに座ったので、彼の目の前にサラダを置く。

「野菜も食べないとダメですからね!」

「わかりました」

 冗談っぽく返事をした涼本さんに笑って、茹であがったスパゲティに温めたレトルトのミートソースをかける。

 涼本さんは飲み物を用意してくれて、わたしはお礼を言いながら出来上がったスパゲティをテーブルに置いた。

「お待たせしました。食べましょう!」

 椅子に座って、笑みを浮かべながらそう言ったわたしに、涼本さんはうなずく。
 お互い「いただきます」と、スパゲティを食べはじめた。

「わたし、このミートソース好きでよく買うんです」

 フォークに麺を絡めていると、涼本さんがわたしをじっと見ていることに気がついた。

 どうしたんだろう。
 もしかして、ミートソースっていう気分ではなかったのかな?

「すみません、嫌でしたか?」

「そういうわけじゃない。なんだか新鮮だなと思ったんだ。家に帰ってきたらこうして食べ物があるということが。平日の夜は、食事を抜いてしまうことがよくあったから」

 涼本さんは口もとを緩めた後、視線をテーブルに移した。

「こうして君と一緒にいる時間が、とてもいいなと思う」

 彼の言葉にドキッとして、頬が熱くなった。
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