お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
 笑って話をしながら駐車場まで歩き、車に乗り込んで運転席の涼本さんに視線を向ける。

「今日はどうでしたか? 息抜きになりましたか?」

 涼本さんは楽しめたかな。
 気になって尋ねたわたしに彼は、頬を緩めた。

「こんなふうに買い物や食事をして、映画を見たのは久しぶり。いい休日になったよ。楽しかった」

「そうですか、よかったです!」

 わたしも、楽しかった。
 優しい表情の涼本さんに微笑んで、窓の外へ視線を移した。

 最初は緊張していたけれど、あっという間だったな。
 車が動き出してからも、今日の出来事を振り返っていた。

 君が気に入ったものを俺も使いたいと思ったんだって、涼本さんが言ってくれたの、本当にうれしかった。わたしなんかにもそうやって言ってくれるのだから、恋人にはもっと優しいんだろうな。

 会社では厳しいって噂を耳にしていたけれど、プライベートの涼本さんと過ごしていると思いやりが伝わってくる。

 いいな、涼本さんの恋人になれる女性は。
 わたしには絶対無理だから、羨ましいよ……。

 ぼんやりとそんなことを考えながら、眠気で瞼が重くなってくる。ドキドキして眠れず、昨日は遅くまで起きてしまったからかも。
 でも、彼が運転している隣で眠るわけにはいかない。

 寝落ちそうになりながらも耐えていると、面白がるような涼本さんの声が運転席から聞こえた。

「眠いのなら寝ていいよ」

「平気です!」

 はっとして背筋を伸ばしたわたしに、涼本さんはこらえきれず笑っていた。おかげで少しだけ目が覚めた。
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