お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
「今度、新しくできたパンケーキのお店に行ってみようよって言ったの。それでいつが暇なのか聞いたんだけど」

「あ、えっと、わたしはいつでも大丈夫! 紗子に合わせられるよ」

 そう言って笑ったわたしに、紗子は探るような視線を向けてくる。

「香菜……なにか悩みごと?」

「なんで!?」

「話を聞かないほどぼうっとしているって、なにかあったのかなって普通に思うでしょう!」

「そ、そうだよね……」

 ごもっともな指摘にわたしは肩をすくめた。
 紗子はわたしのことを気にしてくれていて、どうしたのかと窺うような表情をしている。

 涼本さんとキスをしたこと、話してみようかな。
 そう考えたけど、わたしは紗子に言われたことを思い出した。

『もしかして香菜、涼本さんに遊ばれているんじゃないの?』

 あのときは、そんな人じゃないよ!って反論して納得していたけれど、涼本さんとキスしたなんて話をしたら、紗子は再び疑いそうな気がする。

 でも気にかけてくれる友達に話をしたいし、そうすることでわたしも頭の中を整理したいという気持ちもある。

 どうするべきか。じっと紗子のことを見つめながら考えていたら、彼女は「な、なに?」と困惑しながら聞いてきた。

「……男心を知りたいです」

「え、どうしたの急に? そんなことを考えてぼうっとしていたの?」

「いや……うん、間違いではないかも」

「なにそれ! あ、涼本さんと進展あったんだ?」

 進展っていえばそうなのかもしれない。

 うーん、と悩むような声を出したら、「もったいぶらないで教えてよ!」と言われてしまったので、息をついてから話しはじめた。
< 63 / 110 >

この作品をシェア

pagetop