お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
「すみません……涼本さんにお弁当を渡そうと思って……」

 神坂さんの手厳しい雰囲気に負けたわたしは、正直に話してしまった。
 すると彼は、ふうん?という目でわたしを見てくる。

「涼本の熱烈な追っかけ?」

「いえ、追っかけなんていうのでは……」

「そうだよな。あいつが知らないやつから弁当もらって平気で食うわけがないし。ということは、恋人か?」

 この質問責めから逃れる術はないのでしょうか!?

「恋人じゃないです!」

「それならなんだよ?」

「な、なんでもよくないですか!?」

「いや気になるから。涼本って女の噂とかあまり聞かないし。それと弱味があるなら握っておきたい。いつも余裕そうな顔してムカつくと思ってるんだよ」

 神坂さんって、涼本さんのこと嫌いなの……?
 こういう人に涼本さんが会議室で昼寝をしていることが知られたら、変な噂を作って流しそうだ。

 トゲのある言葉を聞いて反応に困ったわたしは、とりあえずこの場を去るためにお辞儀をして歩き出そうとすると、神坂さんが顔を覗き込むように見てきた。

 面白がっているような表情で、なにを言われるのかと身構える。

「涼本なら午前中会議だったから、ここには戻らずにどこかで休憩とるんじゃないか?」

「……そうですか」

 教えてくれたのはありがたいけれど、神坂さんにはあまり関わりたくないかも。
 訝しく思いながら再び会釈をしたわたしは、商品企画部を後にした。

 商品企画部の会議なら第一会議室。その後休憩というのなら、もしかして……。
 わたしは涼本さんが昼寝をしていたのをはじめて発見した第二会議室へと向かった。
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