お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
「どうした? 涼本に会えなかったのか?」

「会えました。あの、神坂さんに頼みたいことがありまして」

「……頼みたいこと?」

 急になんだと言いたげな顔をする神坂さんに、わたしは少しずつ説明をはじめる。

「先ほど涼本さんと話をしたんですが、なんだかとてもお疲れのようで……同じ部署の神坂さんから少し休んだほうがいいって伝えてくれませんか?」

「……はぁ?」

「わたしは部署が違うし、涼本さんが抱えている仕事を手伝うこともできないと思うし……」

「だからってなんで俺が? つうか、涼本もバカじゃないんだから無理なら無理って言うだろ」

「そ、そうだとは思うんですけど……」

 わたし、無駄な心配して余計なこと言っているのかも。
 冷静に考えればわかることだったけど、悩んでいたときに神坂さんの姿を見つけて、勢いで話をしてしまった。

 心の中でひっそりと落ち込んでいるわたしを神坂さんはじっと見つめた後、大きくため息をついた。

「……あいつは、ひとりでやらないと気が済まないんだよ」

「え?」

「涼本の担当企画の商品で、外部発注の部品が納期間に合わないとか言い出して、いろいろピンチみたいなんだ。もともと開発部と意見が合わない感じだったから……俺も手伝うって言っているのに涼本は、『他の企画の進行もあるだろ。お前はそっち優先で、これは俺が調整する』って聞かなくてさ。確かに他の企画も大事だけど……」

 少しムッとした顔をしながら、神坂さんは話を続ける。
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