お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
「社長の息子だからって常に能力を見られて、それに応え続けた結果ある程度なんでもできるのはわかる。数字出さなきゃあれこれ言われることも。けど、俺は同期で結構同じ企画一緒にやってきたんだし、もう少し俺に……ああもうマジで、大変な仕事まるごとひとりで抱え込みやがって!」

「か、神坂さん……」

 急に荒々しくなった口調にどぎまぎしていると、神坂さんは再びため息をついた。「勝手にしろと思っていたけど、取引先に迷惑がかかるようなことがあったらまずいし、涼本には後でまた声をかけるつもりだ」

「えっ……あ、はい……大丈夫ですか?」

「俺、涼本の次くらいには仕事できるから。この数日、俺だっていろいろ手を回しているよ。今日中には解決するだろう」

 自信たっぷりに口の端を上げた神坂さんに、わたしはふふっと笑ってしまった。
 神坂さんは涼本さんのことを嫌っているのかなって思っていたけれど、神坂さんなりに気にかけていたんだ。

 嫌な人ではないのかもしれない。

「ありがとうございます、神坂さん」

「お前に礼を言われてもさ」

「そ、そうですね」

 言葉を間違えた、と思って焦っているわたしに神坂さんは怪しむ目を向ける。

「やっぱり、涼本と付き合っているのか?」

「違いますよ!」

「それなら……一方的な感情?」

 核心をつかれた言葉に、わたしは一瞬黙ってしまう。
 咄嗟に上手い誤魔化しができないままでいると、神坂さんは「ふうん」と納得してしまったようだ。
< 71 / 110 >

この作品をシェア

pagetop