お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
「え、えっと、あの……!」

「まあ、頑張れよ」

「ちょっと……神坂さん!」

 聞いてきたくせに興味のなさそうな反応をした神坂さんは、片手をひらひらと振って去って行ってしまう。

 なんだったのだろうか。
 どうせお前なんて付き合えないぞって思われたかな。

 それでも恋心を抱くのは自由だと思いたい。勇気もなかなか出せないし、一歩を踏み出そうとしないまま、悩んでしまうけど! 

 好きって気持ちは簡単に離せない。
 そんなことを思いながら、わたしは自分の部署へと戻った。



 午後の仕事を片付け、終了時間になったのでパソコンの電源を切った後「お疲れさまです」と残っている社員に声をかけながらデスクを立った。

 ロッカールームへと向かう途中、スマホの振動に気づいて確認すると、涼本さんからメッセージが届いていた。

『昼間は悪かった。今日は早く帰る』

 内容を確認したわたしはほっとして、肩の力が抜けた。
 お昼休みのやりとりを思い出すと、もしかしたらあのまま気まずくなってしまうのかと思っていたから。

 今日で涼本さんの忙しさも落ち着くのなら、もう少し様子を見ていればよかった。

 自分の行動は意味がなかったなと感じていると、彼から続けてメッセージが入った。

『今日は外で食事をしないか?』

 文面にドキッとして、ロッカールームで固まってしまう。
 嬉しいけれど涼本さんは数日忙しかったし、家でゆっくりした方がいいのでは?
 ええっと、メッセージで説明を……いや、電話の方が早い!
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