お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
「一応報告だけど、仕事の問題は片付いたぞ。俺のおかげでな?」

 自慢げな態度の神坂さんだが、そんなことを気にする様子もなく涼本さんはうなずく。

「助かったよ。お前も他の仕事大変だったのに、悪かったな」

「……素直に返すのがつまらないんだよなぁ」

「なにが?」

「なんでもない。総務の野山さんにあまり心配かけるなよ。この人、俺にまでお前が疲れてそうだって相談してきたぞ。お節介発動しないように管理しておけよな。どんな関係か知らないけどさ」

 ニヤニヤしながらそう言った神坂さんは、わたしに目を向ける。

 どうしてそんなことを言うんですか!?という焦りを見透かしているのか、さらに面白がるような顔をされてしまった。

「お礼は弁当で」

「な、なんのお礼ですか!?」

「涼本を今日は早く帰らせることができた礼とか?」

 目をぱちくりするわたしをふっと笑った後、神坂さんは涼本さんに「早く帰って休めよ」と声をかけて休憩スペースを去っていく。

 たしかに、涼本さんが今日は早く帰ることができてよかったと思う。
 昼間わたしは神坂さんに相談があるなんて言って話をしたし。でも涼本さんの前でわざわざ言わなくてもいいのに!

「……神坂さんって、涼本さんにも結構ズカズカ言ってくるんですか?」

「そうだな。同期の中では一番頼りになるし、彼にはなんでも任せられるかな」

 涼本さんの表情は柔らかくて、信頼しているのが伝わってくる。
 神坂さんもなんだかんだ言いつつ涼本さんのことを助けていて、外からではわからないふたりの呼吸があるんだろうな。
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