お昼寝御曹司とふたりだけの秘密



 涼本さんの言葉が何度も頭の中をぐるぐるしている。

 聞き間違えでなければ、『かわいくてキスした』って言われた気がする。そんなことを彼が思ってくれているなんて……。

 わたしが戸惑っていたのを気にして、涼本さんはわたしとの接し方に迷ったと言っていた。

 平然としているように見えたけど、そんなことはなかったということ?
 落ち着かない気持ちになってしまうのはわかっているのにいろいろと考えてしまって、涼本さんの部屋に帰るまでほとんど黙ってしまった。

 部屋に着いて鞄を置き、手を洗って着替えた後、リビングのソファに座る。
 ドキドキして固まっていたら涼本さんが紅茶を用意してくれて、テーブルに置いてくれた。

 そして彼もわたしの隣に腰を下ろす。
 ふたりのマグカップは、この前お揃いで買ったものだ。

 話を聞きたいと思っていたのに、改めてこうして部屋でふたりきりになると妙な緊張が沸き上がってきた。

「あ、あの、先ほどの話の……」

「まず、君と俺が昔会ったことがあるって言ったことについてだけど」

「は、はい」

「君の香水にどこか懐かしさを感じていて…‥最初は俺も確信が持てず、香りだけでは上手く記憶がよみがえってこなかった。でも君のくまのエプロンを見て、あのときの女の子はやっぱり君だと思った。俺が小学生の頃迷子になって、助けてくれたのはふたりの女性と一緒にいた小さい女の子だった」

 涼本さんは気恥ずかしそうな表情でそう言った。
 迷子だった彼を助けた女性と一緒にいた女の子が、わたし?
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