お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
 そしてお互いお風呂に入り、後に入ったわたしはがドライヤーを済ませてリビングに戻ってくると、涼本さんがキッチンに立っていた。

「君も紅茶飲む?」

「あ、はい。わたしがやりましょうか?」

「いいよ。俺がやるから、ゆっくりしていて」

 微笑んだ涼本さんにお礼を言った後、わたしはお言葉に甘えてソファに腰を下ろし、彼がこちらに来るのを待っていた。

 ふたりぶんの紅茶を持ってきてくれた涼本さんは、それをテーブルに置くとわたしの隣に座った。

 テレビを見ながら笑って、まったりした時間を過ごすのってよくあることだけど、彼と一緒というだけで特別に感じてしまう。

「涼本さん、今日はありがとうございました。涼本さんが俺の恋人だって女性たちに言ってくれたこと、うれしかったです。ちょっとずつだけど、自信も持てそうというか……」

 わたしが遠慮がちにそう言うと、彼はふっと笑みを浮かべた。

「もっと自信を持たせてあげようか……香菜」

 名前で呼ばれることにまだ慣れていないわたしは、ドキッとしながら涼本さんを見た。すると、ゆっくりと顔が近づいてきて唇が触れる。

 一瞬で体の熱が上がって、キスに夢中になった。

「抱いていい?」

「ん……」

 耳もとで甘く囁かれて、気持ちよさに体が震える。恥ずかしくて、顔を見られないようにうつむいたまま頷いた。
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