お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
朝のアラームが鳴る前に目が覚めて、わたしはドキドキしながらゆっくりと体を起こす。
となりには司さんが眠っていて、相変わらずの綺麗な寝顔に見惚れてしまう。
こんなに素敵な人と一緒にいられるなんて、幸せだな。
そう思いながら司さんの寝顔を見続けていると、設定していたアラームが鳴りだした。その音に「ん……」と反応した彼が薄っすらと目を開ける。
「おはようございます」
「おはよう……」
「朝ご飯はいつも通りパンでいいですよね。支度します」
「……香菜」
眠そうな声の司さんの手がわたしの腕を掴んで、ベッドから出ようとするのを阻止してくる。
「まだいいだろう」
「ダメですよ。朝ご飯は大事なので! 司さんはまだ寝ていてもいいですから」
「……君が起きるなら、起きる」
寝起きの司さん、なんてかわいいのだろう。
彼の家に住みはじめた頃は、わたしが起きる頃に彼もリビングにいて、すでに眠気から覚醒している姿を見ていた。
けど今は、一緒に眠った日はこんなに隙のある姿を見られるのだから、わたしに気を許してくれている感じがして、頬が緩んでしまいそうになる。
笑みがこぼれないように唇を強く結んでベッドから降りたわたしは、軽く服装を整えて寝室を出た。
「目玉焼きと、あとヨーグルト食べます?」
「そうだな……頼む。俺がパン焼こうか」
「あ、お願いします」
司さんはだいぶ目が覚めたようだ。