お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
「お付き合いは順調? 結局、涼本さんの部屋で一緒に住んでいるんだよね?」

「うん。部屋が余っているから好きに使ってほしいって言ってくれて……甘えさせてもらっちゃった」

「もう付き合っているんだし、遠慮はいらないんじゃない? どんどん甘えちゃいなよ!」

 蕎麦にのっかるエビ天を持ち上げながらそう言った紗子に、わたしは控えめな笑みを返した。

 紗子も最初からまさかの展開って言っていたけど、わたしも本当にそう思う。
 とくに付き合い始めの頃は恋人同士なんて実感がわかなくて、自信もなくて不安ばかりだったけれど、そんなわたしのことを司さんは優しく受け止めてくれた。

 未だに毎日彼と過ごすのにドキドキしてばかり。

 もう少し自分の中で余裕を持ちたいなと思うこともあるのだけど。
 司さんに甘い言葉を囁かれてしまうとそれだけで恥ずかしくて、顔が熱くなってしまうから。

 子供っぽいって思われていないかな? ただでさえくまのエプロンを着ていたのを見られたし、くまのマグカップを司さんとお揃いで買って喜んでいるし……。

 こんなことを考えてしまう自分は、やはり恋愛経験というものが足りないのかなと感じてしまう。

「……そういえば、ちょっと涼本さんのことで気になることがあって」

「気になること?」

「秘書課の女の子が話しているのを聞いちゃったんだけど……社長が涼本さんにお見合いを勧めているって」

 紗子が表情を暗くしながら、わたしの様子を窺うように見る。
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