丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう
桜木
五人が、丘の上の桜の木の下に集まる。

凱吾「何?宗匠、急に」

宗匠「中学ん時さ!
喧嘩したら、実和がここによくみんなを呼び出してたじゃん」

杏樹「あー、そうだったね!」
鈴嶺「うん」

宗匠「で、実和が言うんだ。
“ぶつかり合おうよ!それで、すっきりしてまた明日から六人仲良く遊ぼっ!”って!」

紀信「そうだったね」
凱吾「で?」

宗匠「だから、ぶつかり合おうぜ!」

凱吾「は?」

宗匠「だから!!言いたいことを、言い合おうっつってんの!!」
鈴嶺「宗くん…」

宗匠「俺からね!
凱吾と鈴は、愛し合ってんだろ?だったら、早く二人で鈴の両親くらい説得して結婚しろよ!
紀信も!鈴が幸せなら、見守れよ!お前、鈴が幸せならいいやって言ってたじゃん!
その代わり、鈴が“助けて”って言ったら、正々堂々奪いにいけ!!
杏樹、お前の彼氏、ちゃんと紹介しろよ!
俺達、仲間だろ?」

凱吾「宗匠…」
鈴嶺「宗くん…うん、そうだね!」

紀信「宗匠、わかってるよ!だから、奪う気はないよ!
僕は、鈴嶺が心配なだけ」

鈴嶺「紀信くん」
紀信「ん?」
鈴嶺「私は、凱くんが大好き!」
紀信「うん」
鈴嶺「凱くんが、冷酷だってこともちゃんとわかってるよ。でも、好きなの。一緒にいたいの。
大丈夫。私は、凱くんの愛情をちゃんと感じてる」

凱吾「紀信、僕は鈴嶺を“無理矢理”自分のモノにしようとは思ってないんだ」

紀信「え?」

凱吾「鈴嶺が、僕を受け入れてくれたから、自分のモノにしたいだけ。あくまでも“受け入れてくれたから”
だから、幸せにするって誓う」

紀信「…………わかってる。僕は鈴嶺が幸せなら、それでいい!」

微笑み合う、三人。

鈴嶺「杏ちゃん」
杏樹「ん?」
鈴嶺「幸せ?」

杏樹「幸せよ!」

鈴嶺「私も、杏ちゃんが幸せならそれでいい!」

杏樹「うん!」

鈴嶺「宗くん」

宗匠「ん?」

鈴嶺「幸せ?」

宗匠「あぁ!」

鈴嶺「みんな、幸せになろうね!」


五人は笑い合った。



その足で五人は、鈴嶺の実家に向かった。

凱吾「お義父様、お義母様、鈴嶺さんを僕にください。
僕は、自分が冷たい人間だってわかってます。
でも、鈴嶺さんへの愛情だけは温もりを持ってるって誓えます!
幸せにするって、誓います!
……………だから、結婚を認めていただけませんか?」

宗匠「おじ、おば!
もし、凱吾が鈴を傷つけるようなことがあったら、俺達が鈴を助ける」

紀信「僕達が、二人を見守りますので!」

杏樹「凱吾を、二人を…信じてあげてください!」

鈴嶺「パパ、ママ!
私、凱くんと一緒じゃなきゃ、幸せになれない!」


鈴嶺父「フッ!!鈴嶺のその言葉、待ってたよ」
鈴嶺「え?」
鈴嶺母「いつ、そう言ってくるか、パパと待ってたのよ」

鈴嶺父「大切なのは、鈴嶺の気持ちだ。
凱吾くん、娘をよろしくお願いします」

両親が、凱吾に頭を下げた。
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