丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう
代償
杏樹「ごめんなさい、急に呼び出して……」
??「ううん。友達、どうだった?」
杏樹「安らかだった。
ほんとに、眠ってるみたいに……」
杏樹はある男と、マンションにいた。
杏樹の自宅マンションで、所有者はこの男。
その男の名は、志田 久史。
不動産会社社長で、その上…赤王組の若頭で杏樹の客。
更に、既婚者だ。
そして杏樹と志田は、不倫関係にある━━━━━━
志田「そう…」
そこに鈴嶺からメッセージが入る。
鈴嶺『今、忙しい?』
志田「メール?」
杏樹「うん」
志田「誰?」
杏樹「親友」
志田「だったら、今返事してあげな?」
杏樹「ううん、後から電話する」
杏樹は“ごめんね、今取り込み中なの。後から電話するね”と返信する。
志田「親友なんだろ?なんか、急な用かもよ?」
杏樹「………」
志田「ん?杏?」
杏樹「今は、久史さんとの時間……いや、久史さんにギュってされてたい」
志田「フフ…可愛いなぁ。おいで?」
志田に抱きつくと、二人は口唇を重ねた。
そのまま……抱き合った。
杏樹「今日再会した、四人……」
志田「ん?」
志田の膝枕で横になっている、杏樹。
ポツリと言った。
杏樹「久史さんとのこと、知らないの。
こんなの……親友じゃないわね……」
志田「軽蔑、されるから?」
杏樹「そうね。特に凱吾には、考えられないことだから。融通が利かないの」
志田「じゃあ、あり得ないだろうな。
ヤクザで、しかも不倫……最悪だな……!」
志田は煙草を吸い、天井に向かって大きく吐いた。
杏樹「でも、別れるなんて……できない」
志田「俺も放したくない。勝手だってわかってるけど………まぁ、嫁も好き勝手してるしな」
杏樹「だったら、別れてくれればいいのに……」
志田「………」
杏樹「はっ!?ご、ごめんね!」
バッと起き上がり、志田に向き直る。
志田「いや……そう思うよな、普通」
杏樹「ち、違うの!そんな、困らせるつもりは……」
志田「ううん。杏樹の言うこと、わかるから。
普通はおかしいもんな。
お互いに愛人がいて、俺達は愛し合っていない。
なのに、夫婦関係。
でも………離婚はできないんだ。ごめん。
俺はこの世界に、身を捧げてしまったから」
杏樹「わかってる。
私達が出逢った時、久史さんはもう…若頭だったから。今更、表には出れない。
私、一生愛人のままで構わない」
志田「あぁ。俺もお前を放すつもりない。
だからせめて、杏との時間は大切にする」
??「ううん。友達、どうだった?」
杏樹「安らかだった。
ほんとに、眠ってるみたいに……」
杏樹はある男と、マンションにいた。
杏樹の自宅マンションで、所有者はこの男。
その男の名は、志田 久史。
不動産会社社長で、その上…赤王組の若頭で杏樹の客。
更に、既婚者だ。
そして杏樹と志田は、不倫関係にある━━━━━━
志田「そう…」
そこに鈴嶺からメッセージが入る。
鈴嶺『今、忙しい?』
志田「メール?」
杏樹「うん」
志田「誰?」
杏樹「親友」
志田「だったら、今返事してあげな?」
杏樹「ううん、後から電話する」
杏樹は“ごめんね、今取り込み中なの。後から電話するね”と返信する。
志田「親友なんだろ?なんか、急な用かもよ?」
杏樹「………」
志田「ん?杏?」
杏樹「今は、久史さんとの時間……いや、久史さんにギュってされてたい」
志田「フフ…可愛いなぁ。おいで?」
志田に抱きつくと、二人は口唇を重ねた。
そのまま……抱き合った。
杏樹「今日再会した、四人……」
志田「ん?」
志田の膝枕で横になっている、杏樹。
ポツリと言った。
杏樹「久史さんとのこと、知らないの。
こんなの……親友じゃないわね……」
志田「軽蔑、されるから?」
杏樹「そうね。特に凱吾には、考えられないことだから。融通が利かないの」
志田「じゃあ、あり得ないだろうな。
ヤクザで、しかも不倫……最悪だな……!」
志田は煙草を吸い、天井に向かって大きく吐いた。
杏樹「でも、別れるなんて……できない」
志田「俺も放したくない。勝手だってわかってるけど………まぁ、嫁も好き勝手してるしな」
杏樹「だったら、別れてくれればいいのに……」
志田「………」
杏樹「はっ!?ご、ごめんね!」
バッと起き上がり、志田に向き直る。
志田「いや……そう思うよな、普通」
杏樹「ち、違うの!そんな、困らせるつもりは……」
志田「ううん。杏樹の言うこと、わかるから。
普通はおかしいもんな。
お互いに愛人がいて、俺達は愛し合っていない。
なのに、夫婦関係。
でも………離婚はできないんだ。ごめん。
俺はこの世界に、身を捧げてしまったから」
杏樹「わかってる。
私達が出逢った時、久史さんはもう…若頭だったから。今更、表には出れない。
私、一生愛人のままで構わない」
志田「あぁ。俺もお前を放すつもりない。
だからせめて、杏との時間は大切にする」