愛しの鳥籠〜完結篇〜

「あれから、朝になってどんなに起こそうとしてもピクリともしなくて。訪問看護してくれる所に診てくれるよう何軒も電話してお願いしたんだけど、例のウイルスの患者を診るのでどこもいっぱいいっぱいらしくて、ダメだったの…」

「そう、だったのか…。でも、なんで外なんかに…」

「あ、鍵、勝手に外してごめんなさい。喫茶店のマスターに事情を説明したら『いま従業員が足りてないからユキが来れないなら忙しくなる時間帯だけでいいから手伝ってくれないか』とお願いされてしまって、三日前から少しだけ働いているの」

「働いていた?ランが、自分の意思で?」

「うん。そうだよ?」

やはり自我が芽生えている。

「それでね?わたしの働きぶりをマスターが評価してくれてね?これからユキと一緒にこのままうちの店で働いてくれないかって」

うふふと、青ざめている僕とは反対にランはよっぽど嬉しかったのか頬をじゅわりと赤らめた。

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