愛しの鳥籠〜完結篇〜
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「やっぱりあの男、ランに一目惚れしたんだよ」
「それ、まだ言う?」
今朝からわたしはいったい何回溜め息を吐いただろう。
「何度だって言うさ。あのオーダーテイカー、ランのことチラチラ見ては顔を赤くしてた」
ユキはすっかりご機嫌ナナメだ。
「向こうはあくまで仕事の一環で部屋に入ってきたのよ?そこにプライベートな感情を優先させるようなホテルマンなんて、あの一流ホテルに限って居ないとおもうけど」
「…それって遠回しに僕に対して言ってる?」
「言ってない。わたし、ユキには本当に感謝しているのよ?わたしの世界全てを壊して変えてくれたんだから。ーー今こうしてユキの『妻』として隣に立てていることがどれほど幸せか」