追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 全員が口々に言い、一気に辺りは騒がしくなった。バーベキューに群がる人、魚の蒸し焼きを頬張る人。みんな、楽しそうに食事に夢中になっている。私もマイアから魚の蒸し焼きとバーベキュー串を一本手渡され、近くのロッキングチェアに腰掛けた。
 ここにいると、王都でのことが全て夢のような気がしてくる。悲しかったことも、苦しかったことも、楽しさに上書きされていく。幸せって、こういう事をいうのだろうな。と、しみじみとかみしめているとディオが隣のロッキングチェアに座った。

「ララ。お腹はいっぱいになったかい?」

「はい!」

 お腹も胸もいっぱいです、と付け加える。

「よかった。あ、そうだ、お昼前の話の続き、聞かせてもらえるかな?」

「あ……そうでしたね」

 忙しくて忘れていたけど、水耕栽培の件があったのだわ。
 ジョッキをテーブルに置き、聞く体制を整えたディオに、私は水耕栽培の話をした。土の肥えていないグリーランドでは水耕栽培が適していること。栽培する場所を選ばないことなど、考えの全てをディオに語った。

「水で野菜が育つなんて。そんな道具を出せるのか?」
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